横浜市のマンション、玄関の大理石タイル。
白色と淡いグレーのとろけるような繊細なマーブルに、濃いグレーのクラック模様。白地に黒い筋。
このビランコカララという石は、日本の住宅でもっとも多く見られる大理石です。
しかし!土足を脱ぎ履き、片足に体重を乗せてドアを開け閉めするひねりの動作、掛けることの家族全員分・毎日 という生活の場にあれば・・・
黒ずみ・茶ばみなど汚れが固着、細かな擦り傷が生じ、新築時の美しい質感と光沢は失われます。
白い大理石だったはずが、灰色のような?濁ってくすんでいます。触るとわずかにベタツキを感じます。
光度計で数値をチェック。光度は7です。「全く光っていない」といえる数値です。
ズームしてみます。
黒い細かな斑点が多数発生、「黒ずんだ汚れた印象」 になっていることが分かります。
窓からの日差し、天井の照明、いっさい映り込んでおりません。
ウォッシュテックのブログでは、 緑色の邪紋 黒色の大理石 トラブル発生後のレスキューメンテナンス など、難しい案件を重点的に掲載しています。
しかし数として圧倒的に多いのは、今回のビアンコカララのように 「白地に黒い筋」 系の大理石です。
石材メンテナンス界で、イレギュラー・マイナー・ハイリスクな緑色や黒色の石のビフォアアフターを、数値を添えて画像で提示しているウォッシュテックならば、
どメジャーでオーソドックスな白色系の石も安定して高い精度で仕上げられます、と、お伝えしたくてのことでしたが、
施工実績の比率としてアンバランスになるのはナァ もしかして白色系の大理石の研磨が苦手と勘違いさせちゃってるかも? と気付き、今回はビアンコカララをご紹介します。
磨き直したのちのビアンコカララの画像です。
同じくズーム画像です。
スクロールで、磨き直し前の画像と比べてご覧ください。
大理石の隙間から滲んだように入り込んだ黒ずみ汚れが消え、本来の白色から灰色のグラデーションに戻りました。
窓ガラスのフチ飾りが鮮明に映り込んで見えます。玄関の照明の形は、「天井に設置されたガラスケースに入っているデザイン」なのだな、と判別できるようになりました。
住宅に大理石が使われるには、目的があります。
「大理石を設える それにふさわしい 地位・身分・格式・美意識 を、この家のオーナーは有しています」 と、一瞬で理解されるよう表明することです。
太古の歴史から形成された化石ですので、その存在感は、他の建材にはとうてい真似できません。圧倒的な説得力です。
もし、くすんで・汚れて・光らない・傷だらけ という状況にあり、「え?これ、大理石なの?大理石である意味、無くない?」と、感じられるならば、そこで大理石としての機能はオシマイです。
クッションフロアやセラミックタイルなど、たんなる床材と同列に並んでしまいます。
他の床材の何倍も高いのに。貼替工事はめちゃんこ大変なのに。良質な石は手困難なのに。
ああ、もったいない!今すでに玄関に嵌っているのに!
大理石のポテンシャルを解放してあげることで、その家の機能を、 購入した分・ローン返済分・家賃分 フル活用で使い倒すことができる。
私は、そのように考えています。
最後に、メンテナンス後の光度計のデータ。
光度は95。
磨けば光る石が嵌っているマンションにお住まいなら、ぜひお声掛けください。
「石に思い入れは無いけど、汚いのはイヤなのよね」 と、仰っていたはずのお客様が 「わぁっ、すごいキレイ、やっぱ石って最高!」 と、指で触られお顔を寄せられるさまを、私はたくさん拝見しています。
石本来の清潔な光沢感。その圧倒的な説得力、肌で感じています。