ホーロー浴室パネル 壁の水垢汚れへの対応

ウォッシュテックのユニット浴室クリーニングでは、タカラスタンダード社製ユニットバスのみ「対象外」と記しています。

理由は、他社製の全てが樹脂でできているユニット浴室と比べて 「きわめて特殊」 であるためです。

当ブログで何度もお伝えしております通り、ウォッシュテックの対応地域である首都圏は、水道水に溶け込んだミネラル(カルシウム・マグネシウム・シリカなどの鉱物)多めのエリアです。

どこの水道水と比べて?例えば、近畿圏です。

私は生まれも育ちも京都市で、横浜市で生活してしばらく、水の硬さ(石鹸の泡立たなさ、昆布と鰹の出汁の出なさ)にワナワナしたものです。特に冬季では、硬度の値にして2倍近くミネラル濃いめなのです。

話をユニットバスに戻しますと。

タカラスタンダード本社、商品企画・宣伝営業・カスタマーサポートの拠点は大阪市です。

大阪本社のメーカーは、当然ながら大阪近郊在住(親族も知人も、大半が関西圏内在住)の従業員が主です。

それゆえかなーと思うのですが、製品説明のオフィシャルなアナウンスが、きわめてローカル色強めです。

・水を掛けるだけで、汚れが落ちる。

・琺瑯はガラス質で丈夫だから、陶器と同じ扱いでOK。ブラシも使える。

・ホーロー壁は乾くのが早いから、拭く間もなく乾き、きれいを保てる。

これらは、首都圏など硬度が高いエリアではアウトな言説です。

水道水を掛けると、その場で残った皮脂や石鹸と化合し石けんカスが生成され、石けんに混ざらなかった分の水も、乾くと白くて取れない水垢になります。むしろ「水だけで汚れる」というのが硬度高めエリアの現実です。

このような。

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琺瑯は、表面の一層目はガラス質です。ガラスが硬く衛生を保ちやすいのは真実です。しかし、ホーローをコーティングしている釉薬は、けっして何ミリもあるような分厚い層ではありません。とても薄い膜状です。

「擦れば元のツルツル、ツヤツヤのガラス質に戻るはず!」とゴシゴシやガンガンすれば、脱落や損傷は十分にあり得ます。

ガラスの膜の下は、塗膜と鋼板。露出すれば交換しかありません。表面が削られて光沢が無くなってパサパサでマットな質感に、更に下層の鋼板が薄黒く透けて見えるホーロー、私は何度も拝見しています。

「あらっ、ホーロー、いいことばっかりじゃない?ユニットバスとしては比較的安価だし」とパンフレットやサイトをご覧になって採用されることで、他のメーカーでは見られない事態を引き起こしています。

他社製の全面的にプラスチックでできているユニット浴室と比べ、圧倒的にクリーニングしにくいです。

・表面がガラス質、なのにガラスの主原料となるシリカが膜状に密着している(シリカスケール)。→同じ物質になっちゃって境目が無いんだけど、どうやって取るの?という事態に。一般的なハウスクリーニング業者は完全にギブアップです。

・ホーロー浴室の作業内容は、壁面4方向、全面ガラス張りの浴室と同じ。材料と作業時間が、通常一般的なユニット浴室の3~4倍となる。→見た目はユニット浴室なのに、料金は高級仕様のデザイナーズ浴室レベルという分かりづらさ。

・むしろ板ガラスの方がやりやすい。ホーロー浴室の場合、壁面がポヨンポヨンたわんで、汚れに対してまっすぐ当てたい機器が当たらない、あるいは力が逃げる。→シリカスケールのクリーニングを確立しているウォッシュテックであっても、100%の実力で遂行できない構造。

これはつまり、付着するであろう汚れを予測、その場合どうするか?を想定してない商品設計であるためかと思います。

加えて、メーカーがアナウンスする「自分で出来る簡単なお手入れだけで、清潔と美観を長期間キープできる」を信用されている方は、破綻に気付きにくいです。施策が遅くなり、回復度は低下します。

・水を掛けるだけケアを毎日され続けているので、水垢が他製品よりも超強力に育っている。

・擦るだけで落ちるというケアをされ続けているので、擦りまくられている。既に表面のダメージが強く、現状以上の損傷を避けるため、やんわりしか洗えない状態になっている。

水質と汚れのメカニズムを住宅建築関係者が把握しておらず、内陸部の硬度高めエリアであっても提案されること、少なくありません。

築浅段階で「聞いてた話とまるで違う。汚れる。きれいに管理できない。助けてください。」とウォッシュテックにご相談くださる方、月に1~2件ございます。

ウォッシュテックでは、まず設計施工業者からメーカーに上げる形で現状を伝えられるようご案内しています。「知らんかった」あるいは「知るか」の撲滅と、トラブルシューティングのためです。

そして、上記の「難しい旨」と「精度が若干落ちる旨」お伝えしまして、「でもやっぱりチャレンジしてみる!」とのご返答であれば、対応させていただいています。

クリーニング後のホーロー浴室、壁パネル。

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ズームでご覧ください。

琺瑯壁、クリーニング前。

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もちろん、中性洗剤+スポンジ+シャワーで流す掃除ではビクとも変わりません。

クリーニング後。

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ホーロー本来の、表面のゆらぎ、ガラス質の質感が回復。

映り込んだ窓枠と青空が明るい!これだけハッキリ映り込むと、壁に新しく窓ができたかのように明るい!

窓枠のビート(コーキング、パッキン)の段差までクッキリクリアな形状で映り込んでいます。

社長・中島、疲労困憊。作業ズボンがハンドポリッシャーの飛び散りでビチョビチョに。だって、4面ともガラスのバスルーム(そんな浴室、見たことないけど!)と同じ労力ですから。

これが、首都圏のホーロー浴室の水垢事情。

ウォッシュテックの現場は、きれいごとはありません。いつでも現実との対峙です。

日時:2022年2月 7日 PM 12:55
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