高級仕様の浴室、人工大理石浴槽のレストレーション。
浴槽で最も水垢のカサカサ・うろこ・白い跡が目立つのは 「フチあるいはヘリ」 かと思います。
浴槽のフチとは、湯船に入る際ヨイショとまたぐ、その立ち上がりの部分です。
特に洗い場から見て手前の部分が汚れやすいです。
もうちょっと引いて見るとこの箇所です。
水道水が降りかかりやすく、平らなことから水分が流れ落ちにくくその場で乾燥、含んでいたミネラルだけ残っちゃうのが理由です。
水道水の雫が乾く、ミネラルが残る、僅かな凹凸ができる、ホコリやカビが絡まりやすくなる、凹凸が大きくなる、更にミネラルが引っ掛かりやすくなる、水垢が加速度的に付きやすくなる、素材との密着が進む、肉眼で確認できるレベルになる、わーん、掃除してもキレイに取れない!と焦る。
そのような一連の流れが起こりやすい位置です。
今回のバスルームもそのような経過からご相談くださいました。
レストレーション後のバスタブ。
ツル!ニュートラルな質感に回復。
壁面の照明がドーム型であることが、映り込みから確認できるようになりました。
浴室全体が清潔な印象になるためには、浴槽をこのくらいのレベルで仕上げる必要があります。
接写で見たところ。
ツルっとしてるけど、添付シール、浴槽本体、メッキの水栓部分に細かな傷が見えます。
これは、ご生活の中でお掃除を頑張られた形跡です。
お風呂掃除用の洗剤をシュッシュ!ゴシゴシ...落ちないな!じゃあ、クエン酸をスプレーして...ゴシゴシ!落ちないな!
で、なんだこのやろーゴシゴシゴシゴシ!!!というように渾身の力でやっつけようとしてしまいますよね。
水垢を除去した後、このようなお掃除の痕跡が見えてくる例は少なくありません。
クリーニングでは、一旦つくられた傷をナシにすることは不可能です。
薄ーい擦り傷だとナシに出来る場合もあったりしますが、それは実際やってみなければ分からず、確約できるものではありません。
ゆえの、そもそも傷が無いに越したことはありません。
そのようなことから、私は、「ゴシゴシゴシゴシ!!!」に繋がらないよう知識を、なるべく早い段階で得ておくことが有効と考えています。
水垢は、薄くへばりついてますが、ガラスと同じような硬さがあります。なぜなら、水垢の一要素であるシリカはガラスの原材料です。
TVや雑誌で「クエン酸で水垢を落とす」テクニックをよく見かけます。家事芸人やカリスマ主婦にこすられまくっている方法なので、ご存知の方が多いと思います。
しかし実際やってみると現実問題、いまいちスッキリしてくれない。それは、シリカにクエン酸は反応しないからです。
酸っぱいジャムやマリネは、ホーロー鍋でこさえてガラス瓶で保存しますよね。そのように、影響しないということです。
シリカの水垢は、カルシウムの水垢と比べてとても薄くくっつくので、水で濡れた状態だと見えなくなります。しかし完全に乾くと白くモヤモヤと見えてきます。
それが、いまいちスッキリしないということです。
おそらくバラエティ番組で対処された水垢も、生活中で長期に亘り形成された「本物の水垢」であるならば、再び完全に乾いてから撮影すると「水垢は残っている」と思います。
クエン酸で水垢退治...落ちる場合もあるかもね、でも首都圏では水垢を残さず除去することは「絶対に」できない。
そのようなテクニックであることを頭に置いておかれると、「私だけ落ちないなんて、そんなはずない!ゴシゴシゴシゴシ!!!」が避けられると思います。
このブログをお読みになった方は、ゴシゴシゴシゴシ!!!を何としてでも避けて頂きたいんです。疲れるだけで成果なし、こんな切ないことはありませんもの。
一旦できた水垢をクリアに除去することは、実際問題そのようにとても難しい。
そのように厄介な水垢、固着を防ぐためには、水道水をその場に留めない、この一点です。
身体を拭いたタオルでザックリ拭いておくか、ワイパーで水気を切って排水口に誘導。
これでウォッシュテックに頼まずとも大丈夫です。
もう付いちゃってる、気持ち凹むわぁぁ と思われる方がもしおられましたら、お気軽にお声掛けください。水垢、取りに伺います。