ユニット浴室のクリーニング。
床の凹み部分に、黒いカビが入り込んでいます。
ブヨブヨ、ヌルヌルというような柔らかいカビ(バイオフィルム)は、お風呂掃除用洗剤をシュシュッとかけて、ソフトなブラシあるいはスポンジでお掃除すれば取れるかと思います。
しかし、こちらの黒カビはお掃除でスッキリ取れません。カビキラーをスプレーして擦ってみても落ちない。黒カビが見るからに不潔に目立ちます。
ユニットバスの床はノンスリップ(滑り止め)と水はけ、2つの機能を求められます。なので、凹凸模様になってます。
床のパターン模様の凹み、溝のところに汚れが積み重なりやすい傾向があります。
凸部は足の裏やお掃除用のスポンジなどが触れやすいのですが、凹部は届きにくく、水分と汚れが流されにくく、留まって残り、付いた汚れが引っ掛かりになって、更に汚れが引っ掛かって...を繰り返します。
浴室で長期にわたり蓄積した汚れは、この汚れはカビだ、水垢だ、油汚れだ、と単純な断定ができません。例えば石のように硬い水垢やネバネバ脂っこい石けんカスなど、あらゆる汚れと混ぜこぜになり、解読困難です。
この浴室床の場合は、カルシウム・シリカなどミネラルが黒カビを抱き込みながら密着している状態なので、カビキラーでもお風呂掃除用洗剤でも成果が出ないということかと思われます。
浴室クリーニング後のユニットバスの床。
凸部、凹部の色と質感が均一に回復できました。
汚れがなくニュートラルな状態、膝やお尻を床についても安心な清潔さです。
なお、手前のボンヤリは、社長・中島がスマホを構えている影です。
最も水分と汚れが溜まりやすく、厳しい状態になるカウンター奥の床をズームで。
カウンターの下は、乾燥しづらく洗い場から流れてきた汚れが留まりやすい位置です。
また、立った姿勢ではカウンターに隠れて見えないので、掃除しなきゃと気づくタイミングが遅れがち。
そんなわけで、お風呂場の床の中では特に汚れやすいポイントです。
俯瞰では黒カビばかりが目立っていましたが、実はパサパサした汚れやテカテカした汚れがまだらに床を覆っていたことがお分かりになりますでしょうか...。
奥のコーキング(この場合は、壁と床の繋ぎ目にある白い充填剤)が、まだ少し黒いじゃん。と突っ込まれる方がおられるかもしれません。
仰る通り。黒い色素、ありますね!
ウォッシュテックでは、コーキングやパッキンの黒カビは、密着性が高いカビ除去剤を使用し、最終工程に近いところで時間を掛けて処理します。
その作業により、表面のカビは死滅。そこを起点として再び繁茂することはありません。
しかし、カビが生成した際にできた染色は残ります。
コーキングやパッキンはプヨプヨとした柔軟性で、異なる材質を繋いで支え、物理的衝撃や温度変化による伸縮に耐え浴室の強度を守る機能があります。
色素の残りだけに着目して強い薬剤でパッサパサに脆くしたり、ガッサガッサと粗い道具で削り落として痩せさせたり、コーキングやパッキンの性質にそぐわない深追いをすれば、たちまちその機能が失われます。
レストレーションの最も重視するところは、住まいのその箇所の機能を回復させること、機能をキープすることです。機能を損なう、機能を失わせる行為は避ける判断です。
なお、厳密に言えば、ウォッシュテックのカビ除去剤を使えば、プヨプヨやわらかいパーツを染めた黒カビも除去可能です。
カビの色素一点一点を狙って、注射針で刺して薬液を注入してゆけば、見た目も完璧に除去できます。
でも、そんな方法は、コーキングの打ち替えやパッキンの交換の何倍もお金が掛かります。この色素をレストレーションで対処したいという考えは、酔狂というか現実的ではありません。
浴室クリーニングのお問い合わせ時、「浴室の隅っこにあるコーキング、扉の枠や出入り口にあるパッキンの黒カビが気になります。」と仰る方が少なくありません。
クリーニングでは色素は残ります。しかし清潔にはなります。
万全を期すならば、打ち替え、交換をなさることです。それが最も安価で確実な方法です。と、お伝えしています。