マンションのバスルームのドア。
浴室の窓から洗面室に、一直線に差し込む陽光。
扉で空間を遮断するのではなく、洗面室と浴室を一続きに見せるために強化ガラスの扉にしましょう。
という設計デザインだったのだと思います。
しかし、数年を経て一枚物のガラス扉は汚れで曇ってしまいました。
画像をズームにしますと、こうです。
白いツブツブ汚れが何層も重なって、モヤモヤに。
外界に向かって透かして見える位置ですので、より白い水垢が目立ってしまいます。
レストレーション完了後の強化ガラス製浴室扉。
クリアに!
まるで、ドアの取っ手が浮いているみたい。洗面脱衣室と浴室がツーツーの空間感、素敵です。
高級仕様のマンションでは、採光や動線を活かしてラグジュアリーな空間を演出する工夫が多彩です。
パッケージとして完成しているファミリー向けマンションとは一味違う個性的なデザイン性にうっとりすることも多いです。
しかし、汚れは、ところかまわず場を読まず。
毎日生活するだけで、容赦なくデザインコンセプトを損なうのであります。
マンションは新築時、引き渡しの瞬間に美しさの頂点が来る仕掛けになっています。そこに向けて練りに練って考えられていると思います。
考えられているからこそ、リフォームや交換が困難です。付帯工事の量が多いとか、サイズダウンを余儀なくされるとか、いろいろ大変。お金もかかるし、仕様を変えねばならないこともあるでしょう。
ゆえに何らか妥協が働いて、考え抜かれた仕掛けが崩れてしまう例も少なくありません。
浴室のガラス扉で多いのは、摺りガラス調のフィルムを上から貼るという方法です。もういっそドア全面を水垢模様にしちゃいましょうということです。
フィルムで半透明に変えられたガラスのドアは、存在感がドンと増します。毎日目につくところです。なんだか 負け って感じがしませんか。
提携のフィルム業者を斡旋するマンションもありますが、 仕掛けにハマっちゃった って感じがしませんか。
私だったら、デザインコンセプトが崩れる方策は避けたいです。
レストレーションは、汚れによるデザインの破綻を修正できる「唯一の方法」です。
清潔と快適はもちろんのこと、設計段階のコンセプトを回復できることも大きな利点です。