ユニットバスのカラン(水栓・蛇口)。
モヤモヤ~っと白い膜に覆われています。
金属の質感は、汚れに隠されて見えません。
今回のような上面が水平なデザインだと、立って見下ろす面も広くなり、より水垢が目立ちます。
こちらのような水垢は、以下のようなステップで形成されます。
立位でシャワーを浴びる、高い位置(頭や顔)にシャワーをかける →
水と洗剤と汚れが降りかかる。 →
そのまま乾く。 →
水分だけ干上がって、溶けてたものが残る。 →
わずかな凹凸が無数にできる。 →
カビや油分といった汚れや水道水中のミネラルが、よりいっそう引っ掛かりやすくなる。
つまり、この汚れになるには、数か月~半年程度の期間が必要だったということです。
金属に、汚れが数週間~数か月に亘りへばりついていたらどうでしょう。
生活用に加工されている金属は、ほぼ合金です。曲げやすさ...軽さ...安価さ...など目的に応じてブレンドというかチョイスされてます。表面をくるむメッキも同様です。
汚れの付着によって酸に傾く、あるいはアルカリに傾くと、部分的に表面から溶出したり変質したりするリスクが高まります。「錆び」「焼け」「崩れ」「荒れ」という用語が使われますが、ダメージのイメージ、湧きますでしょうか。
怖がらせるつもりは毛頭ございませんが、「汚れ」って、それ自体にかなりの破壊力があるのです。
ゆえの、汚れをへばりつけ続けていることによって、交換(改修工事)が着実に早くなりますよ。というのは事実です。
「汚れてても死ぬわけじゃなし」と、よく言われるんですけども、長生きするんなら汚れてたらいけないというのが適当かと思います。
ここで今回のブログで一番お伝えしたいことなんですが、
このような水栓のお掃除で「クエン酸を使う」のは止められる方がおりこうです。
上にも書かせていただきました通り、酸が金属に触れると、ダメージに直結します。
水栓がどんなものでできているか、酸はどういう働きをするか...「水垢にはクエン酸」というのみでは、まったく情報が少ないです。
表面に見えている金属メッキはこういうものでできていて厚みはこのくらい...そこに付着している水垢はこういう組成だからこういう酸しか効かないし濃度はこのくらい...
のように、ダメージを与えず汚れだけを除去するためには、かなりブツブツ考える必要があるのです。
そういった科学的な解説が「水垢にはクエン酸」はゴッソリ抜け落ちています。
だから、本や番組で言っていたクエン酸液では汚れはスッキリ落ちてくれないでしょう。落ちなければどうされますか。
クエン酸を濃く作ってやりなおす。もっと長い時間、置く。ラップで覆って一晩~一日放置する。他の洗剤を重ねて付ける。スポンジやブラシでゴシゴシこする。
ウォッシュテックでは、キッチンのステンレスシンクを酸性の洗剤で変にしちゃった方からのご依頼が多いと以前ブログに書きました。
同じように、バスルームの水栓を変にしちゃった方からのご相談も、ステイホーム期間中に増えました。
しかし、ユニット浴室の水栓はキッチンのシンクとは異なりメッキなんです。新たな面を繰り出して整えて回復することはできません。
なんというか、素材の断面が羊羹のように同じではなく、チョコレートでくるんだケーキみたいな感じなんですね。上だけチョコで、すぐ下はスポンジのような。
近年のユニットバスに使われる金属メッキは、技術の向上によりどんどん薄く。つまり、化学変化や物理的衝撃で突き破っちゃうまでの距離が小さいんです。
高濃度にする、長時間ほっておく、こする、これらはいづれも「あっ!あかん~~~(←駆け寄って、腕を掴んで止めている)」な事態です。
「水栓をクエン酸でやっちゃった」お写真をお送りいただき拝見しまして、数件?いやもっとか?お断りしたのでした。
従いまして、止められる方が宜しいです。クリーニングの範疇を軽やかに超えてしまいます。
そんなつもりではなかったのに...。と、後悔される方が一人でも少なくなりますように!!
ブツブツ考えながら解いた水垢がこちら。▲
上の部分は黒色のプラスティックだったのか!と、クリーニングしてみてようやく分かりました。
金属の質感はそのままに汚れだけを取り除くというのは難問ですが、できたらとても美しいです。そして何より清潔であります。
どなたもお掃除の着地点は、おそらくここかと思います。でもその装備では、チャレンジすぎます。
着地点への最短ルートは、早い段階でそのことを分かって、目的を達成できる人を見つけて、チャーターすることだと思います。
相応お金はいりますけども、水栓を交換するより断然安いのです。