浴槽の水垢除去 バスタブのレストレーション例

ウォッシュテックの本分は、建物レストレーション、特に浴室・キッチン・トイレ・洗面台など水まわりのレストレーションです。

レストレーションとは、回復・修復・復帰という意味です。本来の状態に回復する、と言い直すと分かりやすいかもしれません。

つまり私どもは、「表面に付着した汚れを除去することで、工場出荷段階の質感に可能な限り近づける。とりわけ、水まわり」の技術に特化しているということです。

例えば、浴室の浴槽(バスタブ)のレストレーション。

bathtub-mizuaka_resttarion-before.jpg

白いウロコのような水垢が固くこびり付いています。

濃い青色なので、特に目立ちます。

浴槽の縁、湯舟をまたぐ立ち上がり部分は特に水垢が強く固着しています。底面も膜が覆ったように濁っています。

bathtub-mizuaka_resttarion-before-zoom.jpg

特に厳しいバスタブのフチを接写で。白い石のようなウロコ汚れが重なり、指で触ると僅かに凹凸を感じます。

カビ取り剤、浴室用洗剤でのお掃除では、状態全く変わらずギブアップ。そこからご自身でネット検索され、ウォッシュテックにご相談いただきました。

レストレーション後の浴槽。

bathtub-mizuaka_resttarion-after.jpg

・・・ツルッ!

パサパサ、カサカサした白いウロコの膜が一枚めくれたみたいになりました。

指で撫でると、わずかに引っ掛かるプルっとしたニュートラルな質感です。

ザラザラして何にも映り込まなかった表面に、クッキリと壁面タイルの目地や浴室照明の反射が鮮明に見えます。

レストレーション前はドンヨリ曇っていたバスタブの底は、天井の照明と壁からの陽光を真っすぐ跳ね返しています。

浴槽の立ち上がり部分(エプロンカバー)も、上から下に垂れたような跡が無くなり、床タイルの目地模様がクッキリ。

とろっと滑らかな質感、とても綺麗な紺色ですね!

ここで「タイルのアイボリーと組み合わさって、とってもオシャレなバスルームだわ!」と気づくのであります。

レストレーション前は、汚れにまず目が行ってオシャレも何も目に入らないのです。汚れは明らかなノイズなのだと実感です。

bathtub-mizuaka_resttarion-after-zoom.jpg

同じくズームで。

操作パネルと、社長・中島の顔と手のひらが映り込んでいます。角に接しているデザインなので手は三つ!

もちろん、マニキュア状のコーティング剤などは一切使用していません。塗装したら、どんなに注意を払っても僅かに空気中のホコリを含んでポチポチ凹凸が出たり、塗る手の動きによって塗装膜の厚みが微妙に異なり、ゆがみが見えてきます。それが一切ないことがニュートラルである証拠といえます。

「もうダメかと思ってたけど、すごい!戻った」と、お客様。

「ダメ」というのは、交換(リフォーム)工事ということです。

この浴室の仕様から、浴槽を交換するのは容易ではありません。壁は?床は?運び入れる開口(ドア)は?壁の裏側にある洗面室は?と、改修プラン(金額)が膨れ上がる可能性が高いです。

常々私は、「レストレーションは、汚れを原因とする改修工事を遠ざける」とお伝えしてまいりました。

自分ではどうしようもない、解決できない汚れが付いている。ハウスクリーニング業者もギブアップした。その汚れがあることで、ものすごく不潔さや生活感が出てしまい、当初のデザインや清潔なイメージからは状態としてかけ離れている。であれば、交換するしかない。

それが、汚れを原因とする改修工事です。けっこう多いんじゃないでしょうか。

レストレーションの料金は、改修工事と比較して1/10~1/100の料金と言われています。銃乱射事件後の血や体液で汚れた建物の回復、水災で浸水しカビで汚れた建物の復旧などもありますから、規模によりますが。

ともかく従来のスクラップアンドビルド(新築→解体を繰り返す建物の在り方)と比較して、きわめてサスディナブル。資源ロスの削減にもなりますし、工期も短くお金も安くつきます。この今の時代に、言うことなしの産業です。

ただし、その技術を体得し、常に確実な結果を出し続けることはきわめて難しい。ゆえにレストレーションを頼める先は、きわめて希少。水まわりで言えば、首都圏においてほぼ無し。マスではない業種なので、マスコミにも出てこない。ネットで悩みワードを細かく打ち込まねばレストレーションには辿り着けない。そこはネックです。

今回のバスタブの例は、ご自身で業務用の強い酸性洗剤を試されたり、力いっぱい道具で擦られたり、頻回にカビキラーをお使いになったり、深追いする性質のハウスクリーニング業者をお使いにならなかったので、大成功です。

クリーニングでは、いったん受けたダメージ(劣化)は戻りません。

汚れが長期に亘り固着した(接している)状態は、確実に樹脂や金属を脆く変質させます。また、例えば上記のような誤ったメンテナンスやお掃除を繰り返されるのも劣化変質の原因となります。もちろん、使用年数や使用方法も影響します。

もし何らかの原因で致命的なダメージがあるならば、回復の度合いは相応に低くなります。

あるいは、表面を覆っていた汚れが取り除かれたことで、素材そのものの劣化状態がより目に見えやすくなるということもあるかと思います。(ここは方策があればフォローします。でもフォロー出来ないレベルもあります。)

レストレーションの作業は、汚れと材質を紐解く謎解きのようなものです。作業中、今までどのように扱われてきたか「だいたい視える」。女性であれば「肌、髪、爪と同じ」とイメージされるとピンときやすいでしょうか。

もしかすると「レストレーションって新品に戻るって思ってたのに、戻ってないじゃないか!」と言いたい方もいらっしゃるかと思います。しかし、いかなる技術をもってしても無理なことはあります。科学的根拠がある「無理」なこと。

そこに至るまでのコンディションから導き出したベスト、それがレストレーションです。

ゆえに、レストレーションを生業とする人は、絶対に「新品みたいに、新品同様に、何事もなかったかのようになりますよ」とは言わないのです。そして、先方も「それでオッケー!」とご依頼くださいます。他にできるであろう人がいないからだと思います。

このように、面白いですよ。レストレーションって。もしおうちの中で何か思い当たる箇所があれば、体験してみてください。

日時:2020年6月10日 PM 12:28
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