洗面台の陶製ボウルのクリーニング。
ボウル表面全体がパサパサとしたマット調で、一枚、汚れの膜が張ったような印象です。
スポンジと洗剤で掃除してみても、表面のベタベタがきれいになるだけ。くすみ・くもりは変わりません。触るとサラサラ...昔懐かしスリガラスのようです。
古いから。長く使っているから。ツルンと輝かなくても仕方ない。と、諦められている方が多いかもしれません。
レストレーションで水垢のみをピーリング。陶器本来の質感に回復してみます。
洗面台クリーニング後のボウル。
ツルツルを通り越して、ヌメヌメとも言えるほどの光沢に。
触ると、プルっと指の皮膚が引っ掛かって、これぞ陶器。食器と同じ質感です。
実は、20世紀製の陶製ボウルは、今のそれよりもタフです。表面を覆ったガラス質の釉薬(うわぐすり)がしっかりと分厚くて均一。従いまして、回復しやすい洗面ボウルといえます。
カサカサとした水垢が付いたものは、顕微鏡レベルで見ると「凹凸」です。それゆえ、光をまっすぐに跳ね返すことができず曇って見えるのです。
この微細な凹凸は、脂っこい石けんカスや手肌の汚れ、カビなどの足場となります。凹凸に汚れが積もって凹凸を増幅させてゆき、不衛生に。
水垢を除去し、本来の平滑に整えることで「汚れにくい状態」に回復できます。
私どもが取り組むレストレーションとは「製品本来の機能・目的を回復させる」こと。水まわりの陶器は、別名「衛生陶器」。もちろん美観も付いてきますけど、衛生が最も重要です。
インフルエンザが流行している時期。一日何度も手を洗う洗面台。表面に何も付着していないニュートラルな洗面ボウルで、どうぞご清潔に。