東京都世田谷区のマンションにて、玄関タイルに貼られたビアンコカラーラを石材研磨いたしました。
大理石。今回は、白色に、淡いグレー・濃いグレーが混ざり合う「ビアンコカラーラ」という種類です。
石材研磨は、養生するところから始めます。
ダイヤモンドの研削力を大理石に効率よくアプローチするためには、常に水の層をキープしながら、摩擦による熱をうまく利用してゆくことがポイント。けっこうな量の水を使うので、大きなタオルでドテ(もんじゃ焼きのイメージで)を作った中で機械を使いますが、さらに養生テープとビニールのシートでガードする必要があります。
写真、上半分と下あたり中央、もやんとオレンジ色のムラがあるのがお分かりになりますでしょうか。
光沢が失われてパサパサとした質感になっているためあまり目立ちませんが、これは、水濡れが多い大理石によく見られる現象です。
当ブログで何度も書いておりますが、大理石はいっけん硬そうですが、実は白木やスポンジのようにフガフガに穴だらけの石です。
それにプラスして、ビアンコカラーラやアラベスカートなど「白&グレーっぽい」大理石は、鉄分が多く含まれているという特性があります。どこにどの程度の鉄分が多く含まれているか…もともと「珊瑚や微生物の化石」ゆえに、まだらすぎて予測不可能なのです。
だから、このタイプの大理石が嵌っているおうちの方は、今から知っておいてください。
1.鉄分→水でサビる。
2.大理石→水に濡れる→スカスカの穴ぼこに水が入って含まれている鉄が酸化する→オレンジ色の赤さび色になる→スカスカの穴ぼこを伝って伝って、赤さびがドンドン広がる。
その赤さび色は、タイルの内部(断面)や裏側から回ってきているので、表面数十ミクロン、厚みにして官製はがきの1/3程度しか届かないダイヤモンドによる石材研磨では変わりません。
錆びていない面を新たに繰り出せば、もちろん錆のオレンジ色は無くなります。論理的に。でも、目地は?平らさは?おかしなことになってしまうので、追求されない方が現実的かと思います。
お客様にも、錆がある旨のご説明と、ツヤツヤになることでオレンジ色が鮮明に見える可能性が高い旨をお伝え。
「しかしやはり、パサパサで手入れ不足で不潔って感じがイヤなので、磨いてください!」とのご了承を得て、いざ研磨に入ります。
研磨後のビアンコ。
予想通り、オレンジ色の錆の模様が目立ちます。実は肉眼ではそこまででもないのですが、写真だと特に(ホワイ?)。
光沢感とすれば、今まで全く映り込まなかったダウンライトが、くっきりと丸く鮮明に。白色にボツボツと濃いグレーの斑点があるような印象だったのですが、薄い灰色まで目視できるようになり、繋がりが感じられる繊細なマーブル模様に戻りました。
「あ、いいですね!」と、お客様。(…ホッ)
水を石に染み込ませてしまうのは、禁物なんですね。知りませんでした、気を付けます。不潔さが理由のシミでないなら、まぁ良しです。とも仰ってくださいました。
そうです。この錆が出るのは、ホンモノの天然石だからという考えようもあるんです。セラミックや人工大理石では、こういうふうに石の中からジワッとオレンジ色になることは無いのですから。
パサパサのままだと、不潔が理由の染みだと思われるかもしれませんけども、これだけ光っているんなら、強気に言ってくださいまし(笑)。