東京都品川区のマンション。ウール100%のカーペットが敷き詰められたリビング。
ウール100%の床は、四季を通じてとても快適。なので、子育て中の世帯にも、好ましい!
とはいえ、ウールは、アクリルやナイロンなどの化繊100%カーペットと比べて、強い洗剤を使うことはできません。動物性の天然繊維ですから、縮んだり切れたり、非常に変質しやすいのです。
今回は、全体のカーペットクリーニングに加えて、こんな難問。
「子供がお部屋で野球の練習をするため、数年間、粘着テープでベースを固定していました。その剥がした跡を、なんとかできないでしょうか。」
カーペットの上に貼っても、ズレたり滑ったりしないことを目的に選ばれた粘着テープですから、それはもう強靭なネバネバです。もちろん、水や中性洗剤ではビクともしません。
まずは、砂塵や食べかすなどのパラパラと乾いた粉状の汚れをブラシで掻き出しながら吸引。全体をウール専用のカーペット用洗剤でクリーニングし、いざ、残ったベタベタ粘着テープ跡に取り組みます。
何で取るか。ウォッシュテックで使用するのは、低VOC基準に適合したリムーバーです。
VOCとは、有機溶剤のこと。シンナーやトルエンなど、ツンと臭って頭が痛くなる薬品です。2015年現在、日本政府からの通達レベルで「有機溶剤入りの薬剤は、作るなよ、売るなよ」とされているのですが、カーペットクリーニング先進国であるアメリカでは「絶対アカン」レベルで規制(というか禁止)されています。
そのため、たとえば粘着テープのような、きびしい油性の汚れを溶かして取り除くタイプの薬剤が、世界的に出回らなくなってきています。
※日本では、この手の製品、まだたくさん売ってます。でもそれは、環境基準がユルいから溶剤入りの洗剤を使うことに抵抗がないというだけで、先進とは言い難い。
そんななか、アメリカでも最も環境規制が厳しいカリフォルニア州で、VOC基準を適合(クリア)したリムーバーがあるという。
その!機能と安全性を世界最高水準で両立させた製品を、ウォッシュテックでは使っているというわけです。
もちろん、「ウールカーペットにも、どうぞ安心してお使いください」てな製品はありません。ウールは前述の通り、極めて繊細な天然繊維であるからです。
ですから、おそるおそる、洗剤を馴染ませて薄く溶かしたら拭いて吸い取って、また洗剤を馴染ませて…これを何度も何度も何度も繰り返さねばならない旨は、お察しください。
加えまして、完全に新品同様、何事も無かったかのようには、お約束出来かねる旨をお伝えし、ご了承頂ける方のみ、お伺いさせて頂いております。
粘着テープの跡、除去作業後の状況。
粘着テープの色素がカーペットの繊維に移行したため、染みは薄く残りましたが、ネバネバで引っ掛かることはなくなりました。
ウールー100%のカーペットにリムーバーを行使する、テクノロジーの限界!でも、やった後は全然ちがってますから、ご納得いただける結果に至ることができました。
この作業は、カーペットクリーニングのオプションとなります。
リムーバーを使用する前に、それ以前に対処できる汚れを全て取り去らなければ効果が低いため、必ず通常のカーペットクリーニングの作業をすることになります。
「そこだけ」となると、そこだけがキレイになって、むしろものすごく目立ってみっともない可能性、ほぼ100%だからです。それと、そこだけだからと言って安くはできないのです、採算的に。すみません。
全体のカーペットクリーニングに加算された料金、ご参考までお伝えさせていただきます。
汚れの面積やカーペットの素材にもよりますが、日本の一般的な住宅であれば、税別3000〜25000円になります。
今回の「幼児用バッターボックス」サイズの例では、税別9000円でした。
純粋に、材料費と作業時間から割り出した価格です。他の業者には出来ないのだから高く取ってやろうという気持ちは毛頭ありません。
なので、私どもにこれが高いのか安いのかは分かりかねます。
今回のように「わー!これでみっともなくて隠すこともなくなって、リビングのレイアウトを替えられる!」と費用対効果大と見てくださる方もいらっしゃれば、「高い」と即断される方もいらっしゃるかと思います。
ただ、いちばん難しい場合で、これくらい残るんだな、と知っておいて頂きたいな、と思って。
そうすれば、「割増かー高いなー」と感じられる方は、カーペットにテープを貼らないでおこう、って肝に銘じられるはずですもんね。
そう、基本的に、カーペットにベッタベタの油性汚れは付けてはいけません。
マニキュア、油性ペン、口紅、ガム、クレヨンなども、粘着テープ同様です。