ウォッシュテックの業務を月ごとにご紹介

御影石 コーティング剤が劣化し、曇り汚れに見える

玄関たたきに貼られた御影石のタイル。

最近、汚れてきて、なんだか曇っている…と気になったので、オレンジオイル配合の家庭用洗剤で拭き掃除をして、しばらくしたら・・・

黒っぽいはずの御影石が、白くモヤモヤと曇りが出て濁って、さっきより、すごく汚れて見える…!(ガーン)

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なんでなの、いや原因も気になるけど、玄関先で、この状態はマズい。すぐに検索を辿られて、ウォッシュテックにご依頼頂くことに。

なぜこのようなことになったのか。お話しさせて頂くうえで少し分りづらいので、同じ写真をズームしてみます。

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写真左側。ん?なんか、膜みたいなものが、ところどころめくれている???右側、膜が引っかき傷みたいに、ちょっと剥がれてきている???

実はこの「膜」、20年ほど前に「石材コーティング」と称して別の業者が塗布したものなのです。御影石の表面に、ペトペトーっと、マニキュアのように、上からコーティングしてあったんですね。

樹脂ですから、やはり経年劣化します。脆くスカスカに弱くなる。

そこにたまたまこのたび、「オレンジオイルで汚れを落とす」生活用洗剤が触れて、表面が溶けたり剥がれたりしたということです。

御影石の表面上でコーティングが溶けたり一部剥がれたりしたものの、層が厚いため、かなりガッチリ貼り付いているままの状態。なので、お客様は膜の存在には気付かず、「お掃除したら何故か更に白っぽく汚れてしまった!」と判断されたわけです。

そう、もともと御影石は既に「光沢が失せて、薄汚れた印象」であったのです。それがお掃除に使う程度の洗剤によって急激に進んだ。なので、びっくり。

20年でこのような事態になる「石材コーティング」…じゃあ、なんでするのかしら。なんのために?と思われる方も多いのではないでしょうか。

答えは明解。「研磨することで汚れを取り去り、光沢を取り戻す」という正当な石材メンテナンスの技術が無いからです。

汚れを拭き取って、ほどほどまでしか研磨できない。石材が持ち合わせている本来の光沢感や高級感からは程遠い仕上がりまでしか達成できない。お客様は満足されないだろう。

だから、上からコーティングを塗って、手っ取り早く、光沢感が出たことにしましょう。

コーティングって、悪いものじゃないんですよ。滑り止めにもなるし、水も吸い込まないし!塗った方がトクですよ。って言えば、お客様も喜ぶじゃん。

しかし石材を研磨して光沢を取り戻す技術があれば。そんなふうな言い訳の上塗りというか罪に罪を重ねるというか、苦しい選択をすることもなく、後あとお客様を失望させることもないはずです。

しかしながら、これが日本の石材メンテナンスの主流なのです。バブル期から現在に至るまで。業者の大小有名無名に関わらず。日本全国に、このようなコーティングが塗布された石材は多々見られる。ほとんどの石に何がしかの何かが塗られていると言っても過言ではありません。今後、同じようなトラブルは多くなると思います。

さて!御影石タイルの作業に戻ります。

まずは、薄く鋭い刃物を水平に当て、御影石の表面に塗られて貼り付いているガラス質のコーティング剤を慎重に、そぎとります。

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ショリショリ…ハラハラッ。ガラスの欠片のような膜が剥がれてゆきます。こんなものがビターっと塗布されていたとは。お客様、2度目のビックリ。

よーく見ると、薄く灰色っぽく汚れていますね。コーティング自体、石を汚く見せていたんです。

今ある旧いコーティングを可能な限り残さないように。この後の工程に使う「ダイヤモンド製のパット」は、とても高価なものです。そのぶん性能はパワフルですから、コーティングを残して、そのままギュルギュル削ってしまうということも不可能ではありませんが、パットの消耗は急激に早くなる。材料費が高くなります。材料費はお客様もちです。お客様、困る。そういうわけで、なるべく減らない方法を採るということです。

そして、ダイヤモンドで、段階的に研磨。削いでも残ったコーティングと表面の傷や汚れを、まずは粗めのダイヤモンドで研磨。その後、細かい目のダイヤモンドに替え、また更に細かい目に替え、ねちねち磨いては拭き、拭いては磨く、を続けていきます。

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御影石のリストア、作業終了。

プリーツ網戸のヒダヒダ、植栽の葉っぱの一枚一枚の陰影まで、くっきり。

これが、御影石本来の光沢、色。触ると、スベスベ、うるうる。ネトネト感や引っ掛かるようなカサカサ感はありません。良質の石は、「すっぴん」が一番美しいのであります。

そもそも石材は、「化石」です。何千年も掛けて「すでに完成している」んです。なのになのに、せっかく息をしている孔をベットリ塞いで殺してしまうなんて、人間の思い上がりってもんじゃないでしょうか。

「わぁ〜、きれいになった!きれいになった!」しゃがんでまじまじご覧になるお客様。これが3度目のビックリとなったとしたら、とても嬉しい、であります。

2014年10月 7日

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