東京都内マンション。御影石を含む浴室のクリーニング。
今回は、ブルーパールが使われています。ブルーパールは、種類とすれば「御影石」。鱗のようなキラキラの化石がモザイク調に光る、ブルー系の御影石です。
写真に撮ると上手く光って見えないのですが、海の底からイワシの大群を見上げるような、美しい石なんですよ。
このブルーパール、メンテナンスがとても難しいんです。一般的なモノトーンの、灰色から黒のような御影石と比べ、御影石と言い切るにはちょっとどうなのかという繊細さがあるのです。
御影石だからといつもの手順でクリーニングすると、キラキラの箇所だけが光沢が失せてしまうなどの変質トラブルに見舞われるリスクがあるので、じゅうぶんに注意したうえで作業をしなければなりません。
「マンションを買う時、営業さんから『御影石は、お手入れがラクですよ。夏は涼しいですし』って良いことをたくさん挙げられて勧められたんです。その言葉を信じて、実際に生活してみたら、ものすごく冷たいし、ものすごくお掃除が大変…というか、どう掃除すれば良いのか、よく分からなくて。以前、管理業者経由でハウスクリーニングを頼んだのですが、全く汚れが変わらず。デベロッパー宛に営業さんからはこういう風に聞いてますけどって怒ってみたんですが、のらりくらり。毎日入るお風呂ですから、毎日モヤモヤした気分で。そしてネットでウォッシュテックさんを見つけて。」
と、お客様。経緯をお伺いするうちに、せつない気持ちに。
きれいな石を使えばデザインの知恵を絞らず簡単に高級感が出せる。そして、石種の特性を把握せず、トラブルを回避しつつメンテナンスを行うすべを得ず、嵌め込んで売った。その行き着いた姿が、いま、目の前にある。しかし、石の現場でこういうお話を伺うのは全く珍しいことではありません。その現実を知っているからよけいに、お客様と一緒にワナワナしてしまいました。
浴室クリーニング後。ブルーパールのカウンター。
カサカサと硬く石のように覆っていた水垢が、すっきり。マットなヒビワレ模様のようだった表面が、ツルリと滑らかに輝いています。天井の照明もクリアに映し込んで、青い光も鮮やかに。
「わぁっ、きれいになってるぅ」と、お客様。
よかったです。実は、前述の「ここに至った経緯」のお話は、クリーニング後にしてくださいました。もしヘボい結果であれば、何のお話もお伺いできなかったということです。打ち明けて頂けなければ「こういう状況で悩まれている方、困られている方が多くいらっしゃるのだから、もっと勉強して、もっと現場を充実させねば」と思うこともなかったでしょう。こうして、また頑張れる。ありがたいことです。
こちらのマンションはデフォルトでブルーパールの浴室であるとのこと。他の世帯の方はどのようにされているのだろう。
もしお悩みであれば、お早目にお声掛け頂けるとお力になれるかと思います。あんまり汚れを置いておかれると、私どもにも手の施しようがなくなってしまいます。