ウォッシュテックの業務を月ごとにご紹介
住宅の仕組みを知る 参考書
ハウスクリーニングは、未だ新しい業種です。それゆえ、ビルメンテナンスなど建物クリーニング関連の専門書のみではカバーできない案件も多いものです。
住宅の仕様は日進月歩。どんどん進化してハイテクに繊細になっていますから、住宅設備および内装メーカーのモデルルームや展示会で最新の情報をゲットし、その後数年を経て実際に起こりうるトラブルを予測、それに対応できる方法を探っておかねばなりません。
と、当時に、一般的になされている建築の施工方法も知っておく必要があると思います。いくら工業化や均一化が進んでも、住宅は、ベースとなる知識と手わざを以って、人が組み立てているからです。
表面からは目に見えないけれど、このように出来ている。こんな構造になっている。それを頭に入れておけば、判断も的を得たものになりますし、深刻なトラブルに繋がりにくくなります。
加えて、専門的知識がない方に対して嘘のないご案内を差し上げるためにも不可欠です。
ハウスクリーニングにおいて、存外多いのが、「表面上の汚れではなく、構造上の理由から、目に見える形となって表れている」事例です。
つまり、汚れは設計・施工のあんばいによって引き起こされていることも少なくない。特に、ウォッシュテックにお問い合わせを頂くような、「落ちない」「取れない」とお悩みの汚れについては、多い。
例えば。石材タイルの下地の処理が不十分であるため、裏側に水道水がまわり、タイルの裏側からミネラル分が吸い上げられ、白く輪染みのように汚れているように見える。石材使用の浴室、特に石の種類を色や柄などデザイン重視でチョイスされた場合には、ままあります。表面の汚れを取り除いても、白く硬い汚れがタイルを突き抜けているので、洗剤や研磨機器では手の打ちようがない。薄く残る。お客様にはその旨お伝えせねばなりません。
例えば。カーペットが一般よりも極端な工法で貼られており、パッツンパッツンに突っ張っている。端がギリギリに引っ張られていると判断できるので、少しでも物理的衝撃を加えたり生地が縮んだりすれば即刻隙間が開くだろう。カーペットクリーニングの工法を配慮せねばなりません。
施工方法を知らなければ、なすすべもなくトラブルとなり、お客様のご満足からも遠のいてしまいます。
私の参考書は、「建築の内装工事」。ずいぶん昔に買った本ですが、今もたまに読みます。
図も豊富。へぇぇ、あれはあんなふうに留められていたのか…あ、だから築10年ほど経つと、あんな感じに汚れてきたのか…てな具合。
もちろん、頭でっかちではいけません。クロス屋さん・水道屋さん・畳屋さん等々それぞれ専門の職人さんの生の声がいちばん勉強になります。デキる職人は、ラーメンを食べていてもFacebookをいじっていても、現場の話になってしまうもの。こんなことがあったよー、あれは参ったねー、など、雑談すらも、メモメモ!したくなる(笑)。
2013年8月27日
大理石タイルの汚れ、細かな傷を磨く
川崎市中原区のマンション。玄関の大理石タイルの汚れおよび細かく小さな傷による曇りをクリーニング&研磨。
共有部廊下の柵が近く迫っており、空が近い。ゆえに玄関がとても明るい。したがって、大理石の汚れが鮮明に見えてしまいます。
今回は、テレビのメイクアップ特集で顔半分だけメイク完了状態にして、ノーメイクとの比較をする方法を真似っこ。玄関のタイルを半分ずつ磨いて比較できるように進めてみました。
とびら側(写真・上)が、クリーニングとダイヤモンドによる研磨をした後。手前居室側(写真・下)、作業前の状況。
クリーニング前の大理石タイルの表面には、細かな傷が無数に入り、その小傷に汚れが入り込んだり表面全体に汚れがくっついています。全体に濁ったように汚れ、生活を感じます。
比較して、クリーニング後は、なめらか。大理石本来の質感が戻っています。
全体を磨き、更に整えました。お引渡し時の玄関の大理石タイル。
細い電線が何本あるか、数えられる!床を見るだけで、どんなドアの形か、ドアノブがどんなんか分かるようになりました。
大理石のニュートラルな光沢は、なんとも清潔。まぶしい夏の空を鏡のように映し込んで、玄関全体がパッと開けた感じになりました。
「今まで、玄関が明るいときには大理石の汚れや曇りが気になって下ばかり見ていました。でも、床がきれいになったら、明るくなった壁や廊下に目がいきますね。こことか…子供の絵を額に入れて、飾ろうかな…。」と、お客様。
玄関の床にある、たった2平米にも満たない大理石タイルから、玄関全体の捉え方が変わってゆく。気分もウキウキ、アガる。よかった、よかった。
2013年8月22日
「ファブリーズで洗おう」を洗おう
ファブリーズは、効果がありますか?と、お問い合わせを頂くことがございます。
テレビでよく見かける「ファブリーズで洗おう」のCM。くさいくさーい、不潔不潔ー、もわわ〜ん。シュッシュッシューと液体をスプレーで振りかける。洗濯機から綺麗な水がジャバーッと飛び出す。家族一同、わーい、さわやか、清潔!と、喜ぶ。
小まめに洗えないものも、ファブリーズだったら清潔に除菌することができる。だから、頻繁に噴こう!何にでも噴こう!簡単だし!たった15秒ほど見ただけで、そんな気持ちがムラムラしてきます(笑)。すごい威力だ!
ファブリーズに効果があるかどうかは、正直、よく分からないです。菌、小さすぎて見えないから、液体をまかれて全域に「ギャー、死ぬー、死んだー」ってなってるかどうか、実際分からない。
しかし洗えているかどうか、ということであれば、洗えていないと答えます。
私は、「洗う」とは、ニュートラルな状況に戻す作業だと考えています。
例えば、ステンレスの蛇口だったら、白い濁りで覆われている状況から、金属本来の滑らかさがあり周りが映り込む艶やかな状況へ戻すということ。その素材本来の美しさや特長を最大限に活かすため、表面に乗っかった汚れを丹念に取り除く。生活してる中で付着する余計な汚れを取り除く。可能な限りに素材にダメージを与えない形で、汚れも洗剤も何も残さない。それがすなわち「洗う」ことと考えています。
ハウスクリーニング独特の概念ではなくて、衣類のお洗濯も、そのように捉えています。(なので、洗濯や入浴には軟水器を使っています。)
与えるのではなく、取り除く。
だから、何か別の薬剤を噴いて乾かし、さらに噴く、という行為に、ものすごく違和感があります。汚れを拭き布に転写したりタンクの中に回収したりするわけでもなく、薬剤を多量の水で濯いで流すこともない。今日の今までの汚れも薬剤も、すべてが「そこにある」と思えてなりません。
「肌を美しくするためのエステのほとんどが汚れを取り除くことなんです。電気や薬剤、あらゆる手段を使って取り除く。栄養や油分を与えるんじゃないんですね。」これ、確か、エステ業界の重鎮、たかの友梨先生が仰っていた台詞です。
肌の汚れを適切に取り除くことは、テクニック的に難しく、方法を誤るとシミやシワに繋がる。また、目に見える効果を出すためには、相応に設備投資も必要である。それゆえ、エステ店に通う必要がある。
それに比べて、有効成分たっぷりと書かれた美容液やマスクをドラッグストアで購入し、塗り塗りすることは、たやすい。私に足らない何かを埋めてくれそう。エステより安い。買うでしょう。そして、塗るでしょう。そして、エステに行った気分になる。
ですから、たかの先生のお言葉で目からウロコが落ちた女子は、きっと多いと思います。自己流エステで失敗したり、高い美容液を買っても効果を感じられなかった女子、あまたおられるからです。
ファブリーズも、それと同じ感じかな、と思います。
私はハウスクリーニング業者なので、実際に数年間ファブリーズを噴き続けられたカーペットを洗ったことがあります。その汚水は、とても奇妙でした。ドロドロと粘り気があり、泡立っているのです。そして、不透明で真っ黒で、表面にはうっすら油の膜が泳いでた。濯ぎ洗いの機械を掛けても掛けても、汚れが取れてくる。繊維本来の爽やかさは戻らず、どこかネットリと重い。
実際にカーペットクリーニングで採取された一種独特な汚水を見ますと、ファブリーズ、何も仕事しとらんかったんやな...むしろ悪影響を与えている...と実感します。
それを噴きたい気持ちは分かる。でも、そうしてみても問題は解決せず、むしろ深刻化するばかりである、と私は知っています。
何を選ばれるのかは住まう方ご本人のお考えによります。私の資産ではない以上、私から申し上げることは何もござんせん。ですから、「ファブリーズ、どうなの問題」については、私の経験談だけお話しすることにしています。ご参考まで!
2013年8月19日
ユニットバスの扉 白い曇り汚れで中が見えない
夏本番。今年は猛暑だからでしょうか。ネトネト脂っこい汚れや白く硬くこびりついた汚れなど、ご自身のお掃除では成果が感じられない!と、お風呂の汚れでお悩み方が多く、浴室クリーニングラッシュです。
こちらは、みなとみらい地区のマンション。ユニットバスの扉。
真ん中、汚れが少し薄く見えますね。これは、お客様がお風呂掃除用洗剤を使ってお掃除された痕跡です。
お掃除、頑張ったのにほとんど変わらないんです。表面の粉のような汚れは少し取れたんですが、自分の思っているガラスっぽい感じには戻らず、水気が乾くと、また白い汚れが浮いてきて。せっかくの夏休みを、1日かけて、ビチョビチョになったのに。果てしない気がして…ギブアップです。と、お客様。
まだ築数年の分譲マンションですから、浴室手前の洗面室に設置されたドラム式洗濯機や換気扇のスイッチパネルは新式でハイテクです。整理整頓がきちんとされて、アーバンな洗面室です。しかしながら、汚れは容赦なく浴室の扉を真っ白に曇らせて。ばりばり生活してますよー、もう古いですよー、と主張する。汚れとは、なんと無差別で無粋なヤツなんだ!
浴室クリーニング終了後のユニットバスのドア。
青く見えているのは、作業のために床に敷いた養生シートです。作業中、合間に撮影したもので、すみません。
ハウスクリーニング以前は、浴室内の色がどんな感じか一切見えず、もちろん誰がどんなポーズで入っているのかも全く分からなかったです。しかし、今は、青いシートが敷かれ、左側にかがんだ社長がいることが分かります(おケツと背中が見えてますね!)。
わ、白くない!見える!と、お客様。そうですよね、窓は、向こうが透けて見えるからこそ「窓」だと思います。
白くて硬い汚れは、お風呂用洗剤や重曹やお酢、スポンジでは、けっして溶けてなくなることはありません。業務用洗剤など強力な洗剤を買われてお使いになっても取り除くことはできません。おかみ、嘘つかない。ですから、どうぞ無理されないでください。硬くて粗いスポンジや、強力な酸性洗剤などを掛けないでください。もしいっぺんでも「やっちまった!」ら、表面が凹凸に傷んでしまいます。私どもにも復帰は困難です。
頑張らず無理せず、定期的に頼む方がむしろラクですね、体力的にも、精神的にも。と、お客様。
私も、そのように考えております。お気持ちお楽になって頂きたくて仕事をしています。お気軽にお声掛けください。
2013年8月 5日