日本の職人技で焼き上げられた陶器の便器は、素晴らしく美しい。
焼き込まれて頑丈に仕立てられたガラス質で、均一にくるまれている。
表面がくすんで曇っていても、流れ込み部分の水が溜まっている縁に灰色の輪っかがこびりついていても、縁の裏から薄く筋が垂れていても、丹念に汚れを取り除いて磨き上げれば、再び、滑らかな光沢をたたえることができるのです。
トイレクリーニング後は、つるり、とろり。周囲を鏡のように映しこみます。
昨今、便器づくりにも、熟練工の手わざよりもハイテクを重視する傾向が見られます。厚くポッテリと覆っていたガラス質の釉薬(うわぐすり)ではなく、とてもとても薄い、しかしとても丈夫とされる新開発のコーティングが施されている製品も多く出てきました。
最新鋭のコーティングがなされているけれど、コーティングがいかれちゃったらどうなるのか未だ知れない今ふうの便器よりも、私は、ハードに使われていても何回も甦ることができる昔ながらの便器の方が、好ましいです。
重くて割れやすくて設置するとき大変で、防汚とかキャッチーな宣伝文句も何一つうたえません。でも、不死鳥のようによみがえり、何十年も使えるんですよ。ってね、目立たないけど頼りになる感じが、かっこいいじゃないの。